エンジンは車などを動かす為には必要不可欠なもので、人間にとっての「心臓」の役割をしています。また、エンジンオイルはエンジンをスムーズに動かす為に必要な潤滑油であり、人間で言うと「血液」にあたります。
心臓へ綺麗な血液を供給しないと、様々なトラブルに繋がるように、車もフレッシュなエンジンオイルを循環させることにより、よりスムーズで力強いエンジン性能を発揮できます。
具体的には、「潤滑」、「密封」、「冷却」、「洗浄」、「防錆」の5つの役割があるとされています。
1.潤滑作用
エンジンは金属でできている。金属と金属が直接接触して働き合うと、摩擦によって滑らかに動かない。エンジン内部(シリンダー内)では「ピストン」を始め、「クランクシャフト」や「カムシャフト」などが1分間に数百~数千回転の高速運動をします。そのために生じる金属同士の摩耗や焼き付きなどを軽減するため、エンジンオイルで潤滑する必要があります。
2.密封作用
「シリンダー」と「ピストン」は、完全に密着しているのではなく、わずかな隙間があるので、ピストン運動を保持する役割があります。気密が不十分だと燃焼によって作られたエネルギーが隙間から逃げてしまい、「パワーロス」や「ブローバイガス排出」の原因にもなります。特に、エンジンが古い場合、数多くのピストン運動によって、シリンダーやピストンが摩耗していて、この隙間が広い傾向にあります。その場合には、頻繁に粘度の多い新しいエンジンオイルに交換したり、「エンジンのオーバーホール」を施すことで、密封効果を維持することができます。
3.冷却作用
エンジン各部は燃焼や摩擦によって、とても高温な状態になっています。エンジンオイルには、これらの高熱を冷却する役割も担っています。エンジン各部を回り熱を吸収したオイルは、「オイルパン」に戻り冷却されます。もし、エンジンオイルの性能低下や量の不足によって、冷却が不十分だとエンジン内部のパーツが変形したり、破損してしまう恐れがあります。
4.洗浄作用
エンジンは燃焼や回転運動によって、様々な汚れ(スラッジ)が発生します。この汚れが溜まると、エンジンの性能を低下させるだけでなく、エンジンの寿命の低下にも影響します。エンジンオイルには、これらの汚れが特定の場所に留まらないように自ら汚れを吸着したり、分散することも重要な役割となっています。エンジンオイルが黒く汚れていくことは、洗浄作用が正常に行なわれていることの証です。但し、汚れを取り込む量には限界があるために、一定期間使用したエンジンオイルは交換が必要です。
5.防錆作用
エンジン内は燃焼の熱によって、とても高温な状態になっています。そのため、外との温度差などにより水分が発生しやすく、それが「錆」の発生原因にもなっています。この錆はエンジン性能を低下させるだけでなく、エンジンの寿命を短くする原因の一つになっています。そのためエンジンオイルは、これらの錆の発生を予防することも重要な役割の一つとなっています。